日日光進・更新・交信。アナタへの健康波動---。


by jinsei1

10月9日 焼く

「書簡焼く月のレモンは食へません」 
(しょかんやく つきのれもんは くへません)
片山桃史(とうし)。
 どんな手紙だったか。昭和十二年日支事変に応召し、大陸各地を転戦し多くの前戦(★前線?)俳句を作っている。「闇ふかく兵どどと著(つ)きどどとつく」「兵隊の街に雪降り手紙くる」「我を撃つ敵と劫暑(ごうしょ)を倶(とも)にせる」などだ。昭和十五年には帰還して句集『北方兵団』10月9日 焼く_a0009666_1341866.jpgを上梓している。
 昭和十六年に再度応召し東ニューギニアで戦死。三十二歳。前戦に故郷から届く手紙は何よりの慰めだった。が、未練を残さない為にすぐさま焼き捨ててしまう。絵にかいた餅のたとえはあるが、望郷の念をおこさせるレモンのような月も、<食えません>と口語表現で嘆いているのが印象的な一句である
1912~1944 兵庫県生まれ。「旗艦」同人。by村上護。

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「60年芋などくべるありがたく」
(ろくじゅうねん いもなどくべる ありがたく)
尽生。

明日10月10日の一句 
「いわし雲湧くや郷愁のごときもの」 結城昌治。

by jinsei1 | 2005-10-09 09:06 | きょうの一句