日日光進・更新・交信。アナタへの健康波動---。


by jinsei1

11月19日 天城越え

「あすこゆる天城を恋へば千鳥啼く」
(あすこゆる あまぎをこへば ちどりなく)
加藤三七子(みなこ)。
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浜千鳥byアフター5
演奏
 千鳥は冬鳥と限らないが、『古今集』のころから冬の題とされてきた。昼間は外海で、夜はなぎさ近くに来て哀調を帯びた声で鳴く。北伊豆の旅の宿で聞いたのだろう。ここより南伊豆へは天城峠を越えて行くが、そこは川端康成の小説『伊豆の踊子』で有名なところ。主人公と踊り子の淡い恋が描かれた名作で、そんなロマンを思うとなかなか眠れない。そのとき応答するかの千鳥の声に、深い感銘を覚えての作か。
 峠というのはこちらとあちらとの境界である。こちらが現在なら、あちらは未来であり、峠に立てば前と後とが眺められる期待があろう。そして作者は俳句的切れ味よりも、和歌の伝統である王朝の”たおやめぶり”を引き継いで、俳句に新しい叙情の世界を開いて見せた。
1925~ 兵庫県生まれ。「黄鐘(おうじき)」主宰。by村上護。

11月19日 天城越え_a0009666_9145567.jpg道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思うころ、雨足が杉の密林を白く染めながら、凄まじい早さで麓から私を追ってきた。私は二十歳、高等学校の制帽をかぶり、紺かすりの着物にはかまをはき、学生カバンを肩にかけていた。・・・
・・・重なり合った山々や原生林や深い渓谷の秋に見惚れながらも、私は一つの期待に胸をときめかして道を急いでいるのだった。by伊豆の踊り子
 
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楽曲天城越え
「晩秋のひかりの先の天城越え」
(ばんしゅうの ひかりのさきの あまぎごえ)
尽生。

明日11月20日の一句
「落葉焚くこころ煙に預けては」 
加藤耕子(こうこ)。

by jinsei1 | 2005-11-19 09:16 | きょうの一句