1月5日 川 宙
2006年 01月 05日
(いちがつの かわいちがつの たにのなか)
飯田龍太。
読者それぞれに胸の中にそういう風景が眠っていて、この句に触れることによってそれか呼び覚まされる。一月という季節が鮮烈である。一月という言葉をくり返すことでさらに抽象性を増して、白いキャンバスに白い絵具で一本の線を引いただけのような印象がうまれる。
作者飯田龍太は甲斐の人。大正九年(1920)山梨県境川村小黒坂に生まれた。「渓川(たにがわ)の身を堀りて夏来たりけり」「一月の滝いんいんと馬を飼ふ」など作者の身近な流れを詠んだ句がある。掲出の句も同じ川かもしれないが、どこにもあるがどこにもない川に昇華している。昭和四四年作。句集『春の道』所収。by癒しの一句。
(いちがつの くもいちがつの そらのなか)
尽生。
明日1月6日の一句
「わが十指われにかしづく寒の入」
岡本眸。