日日光進・更新・交信。アナタへの健康波動---。


by jinsei1

2月2日 母の

「きさらぎの針に絹糸母のこゑ」
(きさらぎの はりにきぬいと ははのこゑ)
宇佐美魚目(ぎょもく)
2月2日 母の_a0009666_9471875.jpg 如月というのは陰暦二月のことだから、今でいうと三月の意味である。だから一ヶ月以上先の季節なのだけれど、言葉の感じからいえば春のはじめの冴え返る空気の質感がある。語源的には衣更着、すなわち、春なお寒さのために衣をさらに着重ねる意味があるといわれる。
 春まだ寒い、いわゆる余寒のころ。しかし日の光はあきらかに冬のさなかとは違って明るい。針に絹糸をとおしている。着物を縫うのである。作者の妻の姿であろうか。そこに母の声を聴きとめた。妻と、自分の母親が二重写しになったような感覚。きさらぎという季語が、その語源の、着重ねる季節という。意味もふくめて重層的にはたらいている。
 宇佐美魚目は大正一五年(1926)名古屋市鳴海生まれ。高浜虚子、橋本鶏二に師事、野見山朱鳥(あすか)、波多野爽波に兄事した。掲出句は昭和四九年作、句集『秋収冬蔵』所収。作者は昭和一九年、一八歳で母を亡くしている。二〇代の作に「亡き母に雁の絽の帯ありしこと」がある。by癒しの一句。

2月2日 母の_a0009666_948828.jpg
「幻の母のしつけ手縫い道具」
(まぼろしの ははのしつけで ぬいどうぐ)
尽生。

明日2月3日の一句
「この永き風邪もつて厄落すべし」 
細川加賀。

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by jinsei1 | 2006-02-02 09:54 | 癒しの一句