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by jinsei1

2月10日 あらあらしき息す

「雄鹿の前吾もあらあらしき息す」
(おじかのまえわれもあらあらしきいきす)
橋本多佳子。
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 橋本多佳子は明治三二年(1899)東京生まれ。杉田久女のちに山口誓子に師事した。掲出句の所収は『紅絲』>昭和二二年から二六年までの四一三句を納めた句集である。
 多佳子といえば女ごころを打ち出したとよく言われるが、はたしてそうだろうか。
 「雪はげし抱かれて息のつまりしこと」「夫恋へば吾に死ねよと青葉木蒄(あおばずく)」などの句が有名だが、この作者の作品としては「仏母たりとも女人は悲し灌仏会」「雀の巣かの紅絲をまじへをらむ」などのほうが、抑制された気持ちが俳句の中に生きている。
 俳句の世界で鹿と言えば、秋の季語である。この句の場合も、鹿の交尾期、九月、一〇月ごろに牡鹿が高く長い声で鳴いたのを詠んだものかもしれないが、もっと象徴的な季語としてある。句集『紅絲』の「鹿」という一連には「二月尽林中に鹿も吾も腰折り」などという作も見られる。
 掲出句は女性の情念のあらわれと読めばよい。原初的な荒々しいものに対する憧れの表現である。by癒しの一句。
★鳴き声が収録してありますよ☞ 「奈良の鹿の生態」

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橋本多佳子
「情念の俳句詠み切る美女ありき」
(じょうねんの はいくよみきる びじょありき)
山根尽生。

明日2月11日の一句
「ゆめ二つ全く違う蕗のたう」 
赤尾兜子(とうし)。
  
遠隔治療のお薦め

by jinsei1 | 2006-02-10 07:25 | 癒しの一句