6月19日 猫真似したお嫁さん
2006年 06月 19日
昔、ある山の村に、世間の事を良く知らない娘がいました。
あるとき、この娘の所に、隣の村から使いが来て、
「ぜひ、お嫁に貰いたい」とのこと。
娘のおっかさんは、
「こんな結構な話は、又とあるもんでない」
と、早速、娘を呼んで、言い聞かせました。
「良いかい。お嫁に行って、しばらくの間は、貰ってきたばかりの猫みたいに、大人しくしているんだよ」
「うん、分かった。猫みたいにしておれば、良いんだな」
娘が台所を眺めると、余所から貰って間もない三毛猫が、竈の釜の蓋の上で、こっくりこっくりと、寝ていました。
さて、娘は間もなく、お嫁入りをすませて、お婿さんの家で暮らすようになりました。
嫁入りの次の朝の事です。
娘は、誰よりも早く起きて、竈に火をつけ、ご飯を炊きをはじめました。
そのうちに、
「そうだ。猫みたいにしておらねば」
と、釜の蓋の上に上がって、お坐りしました。
そこに、お姑さんが、
「もっとゆっくり、寝てりゃあいいに」
寝ぼけ眼で、やって来ました。
見ると、嫁さんが、釜の蓋の上に坐っています。
「あら! そんな所に上がって、何をしているんだい?」
お姑さんがびっくりして聞くと、娘は、手で顔を撫で回しながら、
「ニャゴ、ニャゴ、ニャァーン」
と、可愛らしく返事をしたのですが、
気味が悪いと、その日のうちに追い返されてしまいました。
おしまい
ハイッ、お次ぎがヨロシイようで------。
明日6月20日の予告
雷嫌い
寝てる間に、ボケ防止