8月16日 お蔭様で
2006年 08月 16日
あるとき、用足の帰りに、墓場の側を通り掛かった男が、
「確か、友達の源七の墓が、ここにあったっけ。あいつは、お坊ちゃんで、お付きの者がいないと、一人では何一つ出来ない男だったな。死んでから、どうしているだろう。たまには、お参りしてやるか」
と、墓場へ入って行きました。
「うん、ここだ、ここだ」
男が、源七のお墓に線香を上げて、手を合わせていると、
ヒュウー、ドロドロドロー
墓石の後ろから、源七の幽霊が現れました。
「良く来てくれた。本当に嬉しいよ。誰も来てくれなくて、淋しかったんだ」
「そいつは、心細かったろう。そう言う訳なら、これからも、ちょくちょく遊びに来るよ。で、あの世の暮らしぶりはどうだい?」
「いやあ、流石に、冥土への道には、お付きの者も、付き合ってはくれず、心細かったよ。墓場に来てからも、手伝ってくれる者もおらず、なにもかも、自分一人で、やらにゃあならん。さっきの『ヒュー、ドロドロドロー』だって、俺がやって、出て来たんだぜ。
お蔭様で死んでから、ようやく一人前になれたよ」
おしまい
ハイッ、お次ぎがヨロシイようで------。
明日8月17日の予告
化け物退治
☞ 遠隔治療のお薦め
☞ 寝てる間に、ボケ防止