10月20日 食ひたくなりぬ
2006年 10月 20日
(えきべんを くひたくなりぬ あきのくれ)
高浜年尾。
「駅弁を食ひたくなりぬ」という措辞がなんとも大らかで、ユーモラスである。ごくあたりまえの、ぶっきらぼうな表現のようにも見えるが、じつはなまなかのことでは言えないのだ。高浜年尾でなければ、と言いたいくらいである。病室の中での作だと知ると、また違った感興がわく。駅弁などそううまいものではない。食味を欲するのではなく、駅弁というものの持っている気楽な旅行の雰囲気をなつかしがっているのだ。句集では掲出句に続いて「看護妻風邪に倒れて気の毒な」という句もある。これも困難な状況の中で、人間のやさしい気持ちが現れている。by癒しの一句抄。
(くりいれた まったけごはん くいたいが)
山根尽生。
明日10月21日の一句
「月の出の縁にただある柱かな」
原コウ子。
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