10月30日 貧乏医者
2006年 10月 30日
ある日のこと、医者がガックリ肩を落とし、とぼとぼと歩いておりました。
「先生、如何なさいました。どこか具合でも悪いのでは、ございませんか」
と、通り掛かりの町人が声をかけると、医者は残念そうな顔をして、
「いやいや、そうではない。実は、病人を三人も亡くしてしまったのじゃ」
「えっ、三人も死んでしまったのでございますか。それはお気の毒に」
「いや、そうじゃない、三人とも、すっかり病気が治ってしまったのじゃ」
「・・・? それは、目出度い事では?」
「いや、いや、三人も病人を亡くしてしまっては、
わしは、また明日から食べる銭にも不自由する。
そう思うと、悲しくてな」
おしまい
ハイッ、お次ぎがヨロシイようで------。
明日10月31日の予告
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