日日光進・更新・交信。アナタへの健康波動---。


by jinsei1

12月16日 ラッシュ

「駅寒しあまたの命詰め込まれ」
(えきさむし あまたのいのち つめこまれ)
秋尾敏。
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 入れ物につめられるだけ一杯に押し入れるのが、詰め込むの意だ。ラッシュアワーの駅に行けば、人間を物同然に扱っている風景に出くわす。何事も効率優先の世では仕方のないことだろう。寒い季節になれば厚着になる。嵩を増すから混雑とひどい。駅が寒いのは気温のせいだけでなく。乗客の扱いがお寒いかぎりなのだ。命とはもっとも大切なもの。十把一からげはよくないという批判の一句。byけさの一句抄

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「台風で不通を質す顔ありて
(たいふうで ふつうをただす かおありて)
山根尽生。

さて、明日は
# by jinsei1 | 2007-12-16 17:46 | けさの一句

12月15日 狐火

「狐火に日めくり痩せてゐたりけり」
(きつねびに ひめくりやせて ゐたりけり)
成瀬桜桃子。
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 毎日一枚ずつはぎとって使う暦が日めくり。枚数が少なくなるのを比喩的に痩せると表現するのは月並みだが、<狐火>との取り合わせがおもしろい。狐火は狐がともす怪光と信じられていたが、光線の異常屈折によるものらしい。英語でフォックスファイアという場合、フォックスは狐でなく朽ちるとか腐って変色する意だという。ともあれ狐につままれたように日時の消え行く慌ただしさを詠む。byけさの一句抄

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「夜祭の 狐火山を 下りおり」
(よまつりの きつねびやまを くだりおり)
山根尽生。

さて、明日は
# by jinsei1 | 2007-12-15 18:17 | けさの一句

12月14日 無頼派


「泡立草無頼派としてかく枯るる」
(あわだちそう ぶらいはとして かくかるる)
中尾杏子。
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 反俗、反秩序を基として孤高を貫く一群の作家たちを無頼派とよんだ。太宰治や坂口安吾、織田作之助らである。彼らになぞらえて背高泡立草を無頼派とみるのはおもしろい。言われてみれば毛色の変わった帰化植物で、都会地に接した川原の土手や荒地に群落を作る。茎は直立し、高さ二、三メートルにもなるからよく目立つ。枯れても姿勢を崩さないさまを異色の存在として<かく枯るる>と表現。byけさの一句。

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「敗戦の戯作吐き出す三人秀」
(はいせんの ぎさくはきだす さんにんしゅう)
山根尽生。

さて、明日は
# by jinsei1 | 2007-12-14 15:33 | けさの一句

12月13日 霜


「一を知り十ぬけてゆく霜日和」
(いちをしり とうぬけてゆく しもびより)
橋閒石。
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 陰暦十一月を霜月といい、だいたい陽暦の十二月をあたる。霜の降る日が多い。実は目に見えない空気中の水蒸気が地物の上に作りだす氷である。快晴無風の寒い夜に多く発生する。朝日が当たると一面真っ白で、輝くばかりに美しい。けれど日が昇るにつれて、もとの見慣れた光景になってゆく。そんな時間の推移を感慨をこめて詠んだ一句だ。一面の霜の美しさに感動したが、それだけに落胆も大きいものがあった。byけさの一句抄。

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「束の間の氷宝石刻みけり」
(つかのまの こおりほうせき きざみけり)
山根尽生。

さて、明日は
# by jinsei1 | 2007-12-13 16:27 | けさの一句

12月12日 枯れ野


「老い兆す枯野を華と見し日より」
(おいきざす かれのをはなと みしひより)
伊藤通明。
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 老化によって体に変調を来す。そんな年齢を迎えての一句だろう。近くのものを見ていて急に遠方へ視線を移したとき、かすんで見えることがある。老眼の始まりだろう。ことわざで「遠目、山越し、笠の内」という。いずれもその物がはっきりと見えないから実物以上にすばらしく見えたり、感じられたりすることだ。掲出句のニュアンスは少々異なり、枯れ野を華に見立てるのは風流心のきざしでもある。byけさの一句抄。

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「群れ集いふくら雀の日暮れどき」
(むれつどい ふくらすずめの ひぐれどき)
山根尽生。

さて、明日は
# by jinsei1 | 2007-12-12 18:56 | けさの一句

12月11日 12月


「なき母を知る人来たり十二月」
(なきははを しるひときたり じゅうにがつ)
長谷川かな女。
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晩年のかな女。

 日常の雑事に追われていると、ついつい人生の大事を忘れてしまう。特に十二月がそうだ。こんな折り、前ぶれもなく生前の母を知る人がやってきた。話題はいきおい亡き母のことになる。先へ流れる茶飯の時間と積もる過去を顧みる時間。日常と非日常といってもよいが、しばらくは後者の時間に浸り我を取りもどしたか。『徒然草』には「その事となきに、人の来たりて、のどかに物語りして帰りぬる、いとよし」とある。byけさの一句抄。

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「立て看でいよよ煽るや12月」
(たてかんで いよよあおるや じゅうにがつ)
山根尽生。

さて、明日は
# by jinsei1 | 2007-12-11 17:48 | けさの一句