日日光進・更新・交信。アナタへの健康波動---。


by jinsei1

「数へ日に祝日ありて数へ直す」
(かぞへびに しゅくじつありて かぞへなおす)
細川洋子。
12月19日 指折り数え_a0009666_15292782.jpg

 今年も後わずか、残り日はと指折り数えてみる。そんふうに身をもって切迫感のある年の瀬だ。ふと気づいたのは土日以外に祝日があること。働ける日が一日少なくなる。具体的には十二月二十三日の天皇誕生日。祝日は心穏やかに、などの余裕はない。若き日の芭蕉とも親交のあった信徳は「すさまじや女の眼鏡としのくれ」と詠む。昔も今も個人の忙しさは変わっていない。変わったのは社会の仕組みか。byけさの一句抄

信者でも無いのに日本国
12月19日 指折り数え_a0009666_1530943.jpg
「不思議なな指折り数えてクリスマス」
(ふしきなな ゆびおりかぞえて くりすます)
山根尽生。

さて、明日は
# by jinsei1 | 2007-12-19 15:30 | けさの一句

12月18日 一樹

「落葉してからりと高き一樹かな」
(おちばして からりとたかき いちじゅかな)
河野静雲。
12月18日 一樹_a0009666_1863984.jpg

 俳句ならでは成り立たない、俳句らしい一句だ。一本の地に生えている樹木である。作品の素材はそれだけだが、冬に入って状態が急にまたすっかり変わったのだ。それが<からりと>の意であり、木の葉が落ちて裸木になったのである。葉が茂っているときは高さ感じなかったが、急変したかに高く見えたという。座五の切れ字<かな>で言い切って、爽快な詠嘆の気持ちを伝えている。手本となるような写生俳句だ。byけさの一句抄

12月18日 一樹_a0009666_1872050.jpg
「仰ぎ見る銀杏雄木は冬支度」
(あおぎみる いちょうおぼくは ふゆじたく)
山根尽生。

さて、明日は
# by jinsei1 | 2007-12-18 18:08 | けさの一句

12月17日 色情

「色好む鬼のあはれも里神楽」
(いろこのむ おにのあはれも さとかぐら)
上田五千石。
12月17日 色情_a0009666_1024473.jpg

 神楽は神を祭るために神前で演じる舞楽である。宮中で行う御神楽以外を総称して里神楽とよぶ。長い歴史の中で内容もさまざまだが、神の霊を招きもてなし災厄から守ってもらうことを祈願する。民間の里神楽では往々にして鬼を戯画化し、悪役として追放する。情事を求める色好みの鬼を、その弱点をついて貶め笑いを誘うのだ。里神楽に登場する鬼のあわれに同情するのは、わが身もまた無縁でないからだ。byけさの一句抄。

高千穂神社境内
12月17日 色情_a0009666_1033729.jpg
「二本の切るに切れない夫婦杉」
(ふたもとの きるにきれない みょうとすぎ)
山根尽生。

さて、明日は
# by jinsei1 | 2007-12-17 10:08 | けさの一句

12月16日 ラッシュ

「駅寒しあまたの命詰め込まれ」
(えきさむし あまたのいのち つめこまれ)
秋尾敏。
12月16日 ラッシュ_a0009666_17425242.jpg

 入れ物につめられるだけ一杯に押し入れるのが、詰め込むの意だ。ラッシュアワーの駅に行けば、人間を物同然に扱っている風景に出くわす。何事も効率優先の世では仕方のないことだろう。寒い季節になれば厚着になる。嵩を増すから混雑とひどい。駅が寒いのは気温のせいだけでなく。乗客の扱いがお寒いかぎりなのだ。命とはもっとも大切なもの。十把一からげはよくないという批判の一句。byけさの一句抄

12月16日 ラッシュ_a0009666_17441653.jpg
「台風で不通を質す顔ありて
(たいふうで ふつうをただす かおありて)
山根尽生。

さて、明日は
# by jinsei1 | 2007-12-16 17:46 | けさの一句

12月15日 狐火

「狐火に日めくり痩せてゐたりけり」
(きつねびに ひめくりやせて ゐたりけり)
成瀬桜桃子。
12月15日 狐火_a0009666_18142246.jpg

 毎日一枚ずつはぎとって使う暦が日めくり。枚数が少なくなるのを比喩的に痩せると表現するのは月並みだが、<狐火>との取り合わせがおもしろい。狐火は狐がともす怪光と信じられていたが、光線の異常屈折によるものらしい。英語でフォックスファイアという場合、フォックスは狐でなく朽ちるとか腐って変色する意だという。ともあれ狐につままれたように日時の消え行く慌ただしさを詠む。byけさの一句抄

12月15日 狐火_a0009666_18144874.jpg
「夜祭の 狐火山を 下りおり」
(よまつりの きつねびやまを くだりおり)
山根尽生。

さて、明日は
# by jinsei1 | 2007-12-15 18:17 | けさの一句