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by jinsei1

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6月7日 文豪


「手盛りして飯食ふ宿やほとゝぎす」
(てもりして めしくふやどや ほとゝぎす)
幸田露伴。
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 古来、春の花、秋の月、冬の雪とならんで、夏の代表的景物として詩歌に多く詠まれてきたのが<ほとゝぎす>だ。一種気迫のある鳴き方に、これを聞くと物思いや懐旧の情をかきたてられる。作者は旅にあって、どこかの宿屋でほととぎすの声を聞いたのだろう。<手盛り>とは自分で自分の食器に飯を盛ること。うらびれた安宿でかまってくれる人はいない。これこそが俳句に大切な閑寂味と情調を楽しんでいる。byけさの一句抄

露伴作「五重の塔」モデル
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「その上の文士名作五重の塔」
(そのかみの ぶんしめいさく ごじゅうのとう)
山根尽生。

さて、明日は
by jinsei1 | 2007-06-07 07:19 | けさの一句

6月5日 花あやめ

 
「寝る妹に衣うちかけぬ花あやめ」
(ねるいもに ころもうちかけ はなあやめ)
富田木歩。
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 薄幸の兄と妹である。木歩は二歳のとき病んで歩行不能となり、妹は貧苦の一家のために身売りして半玉に。半年後には病に倒れ暇をもらい実家に帰されていた。大正七年の作。妹は同年七月に死去するが、痛々しい寝姿を詠んでいる。自分も歩けないからどこにも行けない。そのどんづまりの境涯は悲惨であり、水気のない乾燥地に咲く<花あやめ>との取り合わせがいじらしい。木歩も関東大震災の難で横死、二十六歳。byけさの一句抄。

戦禍
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「世界には増して理不尽神・仏」
(せかいには ましてりふじん かみ・ほとけ)
山根尽生。

さて、明日は
by jinsei1 | 2007-06-05 06:48 | けさの一句

6月4日 中啓


「美しき中啓の水尾恋ボート」
(うつくしき ちゅうけいのみを こいぼーと)
島村正。
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 観光地の湖沼などには貸しボートがある。仲むつまじい若い男女がオールで水をかいて楽しんでいる。舟は水面に尾を引いて進む。その<水尾>を中啓にたとえた、一幅の絵のような俳句だ。中啓は扇の一種、末広ともいう。親骨の上端を外へそらし、畳んでも半ば開いているように作られているもの。その形の美しさを水尾になぞらえている。あるいは恋も末広がりに、うまくいくようにと声援をこめる。byけさの一句抄。

面白いの見っけボートの乗り方(カップル編)

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「目も彩に幽玄醸す能扇」
(めもあやに ゆうげんかもす のうおうぎ)
山根尽生。
by jinsei1 | 2007-06-04 06:55 | けさの一句

6月3日 妻よ


「妻よ五十年吾と面白かったと言いなさい」
(つまよごじゅうねん われとおもしろかったと いいなさい)
橋本夢道。
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 戦後、銀座に甘味屋「月ヶ瀬」を開き「蜜豆をギリシャの神は知らざりき」などのコピーライターとしても知られている。妻を詠む句集、『無礼なる妻』では「無礼なる妻よ毎日馬鹿げたものを食わしむ」の句を収録。掲出句は『無類の妻』に所収の一句だ。権威失墜の威張る亭主を戯画化することで、戦後の社会を風刺する。「大戦起こるこの日のために獄をたまわる」の作も。byけさの一句抄

※こんなのありました。
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ひいては世の中も・・・。
「三非勝家内丸く収めたい」
(さんひしょう かないま~るく おさめたい)
山根尽生。

さて、明日は
by jinsei1 | 2007-06-03 08:27 | けさの一句

6月2日 蠅叩き


「蠅打ってつくさんとおもふこころかな」
(はえうって つくさんとおもふ こころかな)
夏目成美。

a0009666_8184965.gif 日常生活の中で不快感を与える害虫の一つが蠅である。<つくさん>はすべて取り尽くしてやろう、の意。蠅たたきですべて打ち殺そうと夢中になっていたか。成美は豪商だが痛風で右足の自由を失っていた。無聊を慰めるための蠅退治であったが、ついつい熱中している自分の心に気づいたのだ。それほど躍起になることでもあるまいにと、少々自嘲をこめての作。一茶の後援者でもあった。byけさの一句抄。


棕櫚の蠅叩き、編んだものです。
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「夏休み課題の一つ蠅叩き」
(なつやすみ かだいのひとつ はえたたき)
山根尽生。

さて、明日は
by jinsei1 | 2007-06-02 08:22 | けさの一句

6月1日 走り茶


「走り茶や父に女の客ありて」
(はしりちゃや ちちにおんなの きゃくありて)
柴崎七重。
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 その年に発芽した新芽で製したのが<走り茶>で新茶に同じ。走りとは物事のはじめとなったもの、何となく心が弾む。そんな語感も伴って、父を訪ねてやってきた女の客に興味を示したか。それは言外に察すればよいことで、娘はしおらしく茶菓を供したのだろう。新茶はその香りの新鮮さを珍重する。新茶が出回ると前年の茶を古茶とよぶ。そんな新旧の配合をもイメージした初五の<走り茶や>がいい。byけさの一句抄。

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「走り茶や如何と添える薯蕷饅」
(はしりちゃや いかがとそえる じょうよまん)
山根尽生。

さて、明日は
by jinsei1 | 2007-06-01 07:19 | けさの一句

5月31日 脱ぎすてる


「また一枚ぬぎすてる旅から旅」
(またいちまいぬぎすてるたびからたび)
種田山頭火
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 漂泊の俳人として面目躍如の一句である。「衣更」の季語はあるが、無季の自由律俳句ではなにより無為自然を重視する。気が向くままの旅なので、暑くなれば着衣を減らす。その様子をそのまま、脱ぎ捨てながら旅を続けていると詠む。芭蕉の旅は「一ツぬひで後に負ぬ衣がへ」と捨てたりしない。そこは人生観の相違だが、山頭火には「わざと定型一句ー」と前書して「さすらひの果はいづくぞ衣がへ」の作も。byけさの一句抄

夜来の風雨に
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山頭火に捧ぐ
「無念にも中折れ孟宗藪の中」
(むねんにもなかおれもうそうやぶのなか)
山根尽生。

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今朝(31日)の中折れ君。育ってるんです。

さて、明日は
by jinsei1 | 2007-05-31 07:47 | けさの一句

5月30日 青嵐


「蛇すすむ音も加えて青嵐」
(へびすすむ おともくわえて あおあらし)
今瀬剛一。
蛇穴見立て
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 青葉の茂るころに吹く、やや強い風を<青嵐>という。これは共感覚の一種で、風の音を聴きながら青葉の色を見ているというわけだ。季語として定着して以後は、本来の色聴などを感じることは少ないかもしれない。もっと自然に帰りたいなら、野生の蛇と共生することも考えるべきだろう。青草にはう青大将などを見て、ぞっとする時はある。けれど青嵐には<蛇すすむ音>も含まれているのだ。byけさの一句抄

右上奥の広場に、ご近所元気園児ら。
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「青嵐の向こうに弾む園の児ら」
(せいらんの むこうにはずむ えんのこら)
山根尽生。

さて、明日は
by jinsei1 | 2007-05-30 08:14 | けさの一句

5月29日 大樹


「日曜日わが来て惚るる大樹の根」
(にちようび わがきてほるる たいじゅのね)
西東三鬼。
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 樹とは地面に生えているままのもの。人間と同様に命を持ち、感情も持つと考えられている。まして大樹ともなれば呪力も宿ると、崇拝の対象とした。一種アニミズムの考えに基づく信仰だが、掲出句ではどこまで信仰心があるかは不明。日曜日には安息し英気を養うために<大樹の根>を眺めにやって来て、うっとりとしたさまを詠んだ一句だろう。辞世の句は「春を病み松の根つこも見あきたり」であった。byけさの一句抄。

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「擬態して頼りきりけり大樹幹」
(ぎたいして たよりきりけり たいじゅみき)
山根尽生。

※画像クリックで、600×450に拡大します。
(以後も、多分そうします)



さて、明日は
by jinsei1 | 2007-05-29 08:22 | けさの一句

5月28日 斑猫


「この先は斑猫につくほかはなし」
(このさきは はんめうにつく ほかはなし)
小林一子。
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 人が歩くと先へ先へ飛んでは止まるのが<斑猫>。まるで道案内するかの虫で「道おしへ」の名もある。この季語の意のおもしろさを逆用して、これより先へ進む道は斑猫のあとに従いつづけるほかはない、と運命も預けたかの表現が潔い。もちろん本気ではあるまいが、そこに滑稽さがあるわけだ。「鰯の頭も信心から」のことわざもあるが、掲出句の軽快さがいい。byけさの一句抄

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「斑猫やいざご案内待機中」
(はんみょうや いざごあんない たいきちゅう)
山根尽生。

さて、明日は
by jinsei1 | 2007-05-28 07:44 | けさの一句