日日光進・更新・交信。アナタへの健康波動---。


by jinsei1

11月30日 琥珀

「茨の実琥珀十一月終る」
(いばらのみ こはくじゅういち がつおわる)
山口青邨。
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 琥珀は松やになどの樹脂が埋没して地中で化石となったもの。五二〇万年から一六四万年前までさかのぼるが、そんな太古から<茨の実>も古生物として存在していた。作者は東大教授など歴任した鉱物学の大家。実際に見たのはノイバラだろうが、それによって化石の琥珀を連想するのは常人の思い及ぶところではない。中七までは悠久の時空に遊び、下五で収穫を終えた十一月末日の現在を詠む。byけさの一句抄。

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「琥珀色何ぞ祈るや腕念珠」
(こはくいろ なんぞいのるや うでねんじゅ)
山根尽生。

さて、明日は
by jinsei1 | 2007-11-30 15:32 | けさの一句

11月17日 帰り花


「帰り花鶴折るうちに折り殺す」
(かえりばな つるおるうちに おりころす)
赤尾兜子。
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 古来、鶴はめでたい鳥とされ、形代として鶴の形に紙を折りたたんで作るのが折り鶴。祈願の意で社寺に千羽鶴を奉献したり、個人に対しては幸福祈願や慰安、祝福の心をこめて贈る。すべては慎ましやかな行為だが、鶴を折っているうちに誤って首を切り殺してしまったという。ぞっとするブラックユーモアの一句。呼応するのが初五の<帰り花>季節外れの狂い花で、気象に異変がある年は多く咲くという。byけさの一句抄。

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「神妙に御霊鎮魂原爆忌」
(しんみょうに みたまちんこん げんばくき)
山根尽生。

さて、明日は
by jinsei1 | 2007-11-17 08:32 | けさの一句

2月24日 春月


「一つのコール春月に祈りを一つ」
(ひとつのこーる しゅんげつに いのりをひとつ)
金子皆子。
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 前書に「コール通じて嬉し」とある。コールは電話の呼び出しだが、それは助けを求める叫びでもあった。最近刊の第四句集『花恋』に所収の一句。作者はこの七年間、悪性腫瘍・癌に冒され死の淵もさまよった。そんな闘病生活における絶唱ともいえる一一八六句のうちの一句である。危機を伝えるのに現代なら電話だが、取り合わせで<春月に祈り>というのは印象的である。byけさの一句抄

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「ビルの上浜の春月懸かりおり」
(びるのうえ はまのしんゅんげつ かかりおり)
山根尽生。

さて、明日は
by jinsei1 | 2007-02-24 08:16 | けさの一句