10月4日 秋風
2005年 10月 04日
(とおくまで ゆくあきかぜと すこしゆく)
矢島渚男(なぎさお)。
さてどちらがよいのか、前者の解では散文的になり、作者の境涯の深さ菜と無視することになってしまう。主体は一人称で、二句一章仕立て。私は遠くまで行く。私は秋風と少し行く、と二句に分けて読むべきである。遠くまで行く全行程の一部を、秋風と共に行くのだ。「人の一生は重荷を負て遠き道をゆくがごとし。いそぐべからず」は徳川家康の遺訓。これにそのまま従わないが、だれにも遠き道の思いはある。秋風は夏冬のはざまで定まった風位のないのが特色である。
1935~ 長野県生まれ。「梟」創刊主宰。by村上護。
★ザングリト荒ビテ 矢島渚男
(どちらとも はくいきそろえ すすきはら)
尽生。
明日10月5日の一句
「生も死もたった一文字小鳥来る」 石寒太(いしかんた)。