日日光進・更新・交信。アナタへの健康波動---。


by jinsei1

10月10日 秋の雲

「いわし雲湧くや郷愁のごときもの」
(いわしぐも わくやきょうしゅうの ごときもの)
結城昌治。
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 小説家の俳句。いわば心境の諷詠で、おおらかな作風である。鰯雲は空一面に斑点状または列状に広がる雲で、あたかも鰯が群れているかのようなのをいう。水原秋桜子は「鰯雲こころの波の末消えて」と雲に託して自身の心情を詠んでいる。掲出句は過去がなつかしくて、こみあげてくる気持ちを鰯雲に見立てた一句だ。
 昭和二十二年、結核で療養中、隣室に入所していた石田波郷から俳句を学んでいる。途中で二十数年間ほど句作から遠ざかっていたが、昭和五十三年に再開して「降る雪や余生というもやすからぬ」などの作がある。平成元年六月には、『俳句は下手でかまわない』という随筆集を出し、その巻末には次のように書く、「芭蕉や弟子たちにしたって、楽しいから作ったにちがいありません。そして後世にまで伝わる秀逸の句が三句から五句、まさにそんなところじゃないでしょうか」と。
1927~1996 東京生まれ。小説家。by村上護。

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「愉快にもイルカ競える秋の空」
(ゆかいにも いるかきそえる あきのそら)
尽生。

明日10月11日の一句 
「うすい味噌汁で秋風見送りぬ」 清水径子(けいこ)。

by jinsei1 | 2005-10-10 07:30 | きょうの一句