日日光進・更新・交信。アナタへの健康波動---。


by jinsei1

10月25日 東大寺

「鐘鳴れば秋はなやかに傘のうち」
(かねなれば あきはなやかに かさのうち)
石橋秀野(ひでの)。
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 前書に「東大寺」とある。奈良は作者の生まれ故郷。招かれた句会に参加した昭和21年の作。メンバーは西東三鬼、橋本多佳子らそうそうたる俳人たちである。赤い日傘の下、緋毛氈の上に座して句会は進行する。穏やかな秋日のなかで<傘のうち>は彩り豊だ。折からなつかしい東大寺の鐘の音が響き、いろんな思い出が去来して華やかな気分になる。という感懐の一句だ。
 奈良吟行には夫である山本健吉もと同行している。掲出句については健吉が「山陰時代の句が寂寥感を帯びているのに対し、彼女本来の華やかさある」と評しいる。句会で一緒だった多佳子は秀野のことを「美しい人で安見子ちゃんを背負った紐が細い肩をしめつけてゐたのが忘れられない。私が夫人に会ったのはこのとき一度だけである」と回想。ちょうど一年後に不帰の客となっている。
1909~1947 奈良県生まれ。「鶴」同人by村上護。

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「古の奈良の都の響きにて」
(いにしえの ならのみやこの ひびきにて)
尽生。

明日10月26日の一句 
「実石榴や妻とは別の昔あり」 
池内友次郎。

by jinsei1 | 2005-10-25 08:41 | きょうの一句