日日光進・更新・交信。アナタへの健康波動---。


by jinsei1

10月26日 鬼子母神

「実石榴や妻とは別の昔あり」
(みざくろや つまとはべつの むかしあり)
池内友次郎。

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 誰でも結婚して家庭を持つまでは、夫も妻も別々の環境で育ってきたわけだ。江戸時代の井原西鶴は浮世草子の中で、女房を捨てて田舎から京に出て新しい妻を持ったが零落し、故郷の友人に手紙で次のように述懐する男を描いている。「京も田舎も住みうき事すこしもかはらず、夫婦は寄合過とぞんじ候」と。寄合過とはおもしろいが、子供が生まれることになってみると、また夫婦の間も変わるのかもしれない。
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 右手に石榴を持つ鬼子母神は安産、育児の神さまである。仏説によると、千人もの子持ちの鬼女で他人の子を奪い食するので、仏が戒めて代わりに石榴を与えたという。石榴は種の多さから多産。豊穣のシンボルと考えられる。妻が鬼子母神に祈願するのを見て、今は一緒の生活だが<昔>は異質な時間を過ごしてきたのだと、改めて思うのだ。初五<実石榴や>の取り合わせが絶妙。
 
1906~1991 東京生まれ。虚子の息。音楽家。「ホトトギス」同人。by村上護。

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円空鉈彫り鬼子母神
「慈しみこぼれる程の石榴かな」
(いつくしみ こぼれるほどの ざくろかな)
尽生。
発願十二万体。円空は旅とともに、今も生きる。

明日10月27日の一句
「打てばひゞくわれと思ふや秋の風」 
久保より江。

by jinsei1 | 2005-10-26 06:45 | きょうの一句