10月29日 両手ひろげ
2005年 10月 29日
(すてかかし りょうてひろげて いきてをり)
河野南畦(なんけい)。
比喩の俳句である。直喩と隠喩、諷諭の三種があるが、いずれにしても新しい意味作用の創造である。既存の言語枠を越えた新しい価値あるものとして自己存在を主張するのだ。掲出句の場合は<捨案山子>に価値を見出して遠まわしにそれとなくさとしている。弱者の側に視座を変えれば、新しい世界が見えるわけだ。
1913~1995 東京生まれ。吉田冬葉門。「あざみ」創刊主宰。by村上護。
(ゆくあきや りょ うてひろげて そらいだく)
尽生。
「行く秋や風白うして象あり」
北原白秋。