1月28日 鶯
2006年 01月 28日
(ささなきや ほいくきにさく じゅっしあり)
田川飛旅子。
生まれたての赤ん坊を見ていると、命というものの最も純粋なかたちと思う。生きるというそれだけのことにも介助の必要な存在。この句の赤ん坊にはそうした助けがさらにもう少し必要なのだろう。生きて育つという素朴な願いと、今生きているという無垢な時間がこの保育器にはあって、小さな生の証しのような動きへ与えられた「咲く」という措辞に強くうたれる。作者田川飛旅子は大正三年(1914)東京生まれ。加藤楸邨に師事。クリスチャンとして知られた。掲出句は昭和五五年の作。句集『薄荷』所収。by癒しの一句。
(かんちゅうを つがうをもとめ ささよばい)
尽生。
★☞ 笹鳴き
明日1月29日の一句
「湯豆腐やいのちのはてのうすあかり」
久保田万太郎。