日日光進・更新・交信。アナタへの健康波動---。


by jinsei1

2月17日 あわて医者

2月17日 あわて医者_a0009666_8194744.gif 昔は、ひとかどのお医者様になりますと、脇差しといって、腰に短い刀を差して、仕事に出掛けたものでございます。
 さて、ここに、大変あわてもののお医者がおりました。
 ある日のこと、旦那が急病なので、急いで来るようにと、呼ばれました。
「それっー!」
と、ばかり、家を出たのですが、あんまりあわてたもんで、脇差しと間違えて、ゴマなどを磨り潰す、擂粉木を腰に差して出掛けました。
 無事に、診察をすませて、お屋敷から帰る時でした。
 その家の奥さんが脇差しをさし出そうとすると、なんと、それが、擂粉木です。
 おかしいのをこらえて、
「ぷぷっ、・・・せっ、先生。どうぞ、お協差を」
と、さし出しました。
 医者は、ハッと、気がついて、
「これは、これは」
と、受取り、恥ずかしそうに言いました。
「こうしたことに気を配るのは、妻の役目。帰りましたら、うっかり者の妻を、よく叱っておきましょう」
 挨拶もそこそこにして、家ヘすっとんで帰ったのですが、医者は家を間違えて、隣の家ヘ、飛び込んでしまいました。
 そして、
「おい、この間抜けめっ!」
 縫い物をしている隣の女房の前に、立ちはだかって、どなりました。
「わしに、擂粉木を渡すとは、何事だっ! お陰で、飛んだ恥をかいた。えい、この、不届き者めっ!」
「まあ、隣の先生。一体何のことでございます」
「へっ? あっ! ややっ!」
 医者はあわてて自分の家へ入り、今度は自分の女房の前に、ぴたりと両手をついて。




「只今は、飛んだご無礼を申しました。
どうぞ、どうぞ、ご勘弁下さいませー」

おしまい

ハイッ、お次ぎがヨロシイようで------。
明日3月18日の予告

風邪の神送り
 
遠隔治療のお薦め

by jinsei1 | 2006-03-17 08:22 | 一服小話