6月12日 赤錆
2006年 06月 12日
(かみそりや ひとよにさびて さつきあめ)
野沢凡兆。
じめじめとうっとうしい雨の降るこのころ、ゆうべ使った剃刀を取り出してみると、驚いたことに赤錆が浮いている。髪剃や、という物それ自体を取り出したような詠い出しも新鮮だが、一晩で錆びてしまったという驚きが率直に出ているところもおもしろい。時の流れに対する心の動きがあらわれている。といって、ものの哀れや無常を感じるほどの深刻さはない。何でもない日常的な世界の中に、作者の詩心が光る。癒しの一句抄。
(すろうにん こしはたけみつ あかいわし)
山根尽生。
明日6月13日の一句
「ひらがなのさよならばかりさるすべり」
森慎一。
寝てる間に、ボケ防止