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by jinsei1

7月21日 鰻の嗅ぎ賃


7月21日 鰻の嗅ぎ賃_a0009666_7435158.gif ある、吝嗇坊な男がおりました。
 毎日、毎日、ご飯時になると、鰻屋の前へ出掛けて行っては、腹一杯、鰻のに匂いを吸い込み、そのまま家へ飛んで帰って、鰻の匂いでご飯を食べるのでした。
 それに気が付いた鰻屋の親父は、
「なんちゅう吝嗇だ。よし、あの様な奴からは、匂いの嗅ぎ賃を取ってやろう」
と、早速帳面に付けておき、月末になると、嗅ぎ賃を取りにやって参りました。
 すると、吝嗇坊な男。
「やい、俺は鰻屋に、借金をした覚えは無いぞ」
「いえいえ、これは、うなぎの蒲焼の嗅ぎ賃でございます。えーと、〆て八百文(一文は30円ほど)ですな。匂いを嗅いで食べた積もりになっておりますので、こちらも、食わせた積もりで銭を取りに来ました」
 鰻屋が澄まして言うと、男は仕方なく、懐から八百文取り出しました。
「へい、確かに八百文。ありがとうございました」
と、ニコニコ顔の鰻屋が受け取ろうとした所、男はそれを板の間へ放り出しました。
チャリーン。
 お金が、景気の良い音を立てると、男は鰻屋に言いました。




「匂いの代金は音で払おう。それ銭の音を聞いただろう。本当に銭を受け取った積もりで、帰んな。」
 この勝負、鰻屋の負けで御座います。

おしまい


ハイッ、お次ぎがヨロシイようで------。
明日7月22日の予告

鰻の天昇り



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by jinsei1 | 2006-07-21 07:44 | 一服小話