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by jinsei1

12月9日 親父を焼いた伜


12月9日 親父を焼いた伜_a0009666_8415647.gif 親父さんが四、五日、家を空ける事になったので、留守番の伜に言いました。
「良いか。客が来たら、何処の何方かを聞いて、お茶を差し上げ、出直して貰うんだぞ」
「はいよ」
 伜は引き受けましたが、元々、物覚えが悪くて、頼りになりません。
「お前は、直ぐに忘れてしまうから、紙に書いて置いた。忘れたら、この紙を見るのだぞ。分かったな」
 親父さんは、書き付けを渡して、出掛けて行きました。
 伜は一日に何回も、紙を取り出しては、読み返して、
「何処の何方かを、聞く。茶を出す。出直して貰う。簡単簡単」
と、思っていました。
 けれど、二日たっても、三日たっても、誰も来ません。
「こんな紙、いらないや」
と、囲炉裏で、焼き捨ててしまいました。
 所が、四日目に、
「御免下さい。お父っつあんはおられますかな?」
 客がやって来ました。
 伜は慌てて、懐や、袂を探りましたが、紙が無いので、
「それが、・・・無くなりました」
 しんみりと、答えました。
「何と! 何時、亡くなったのです?」
「はい、昨日、焼いてしまいました。」
「そうですか。それはお気の毒な事でしたね」




 客は、お悔やみを言って、帰って行きました。

おしまい


ハイッ、お次ぎがヨロシイようで------。
明日12月10日の予告

三つの当て



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by jinsei1 | 2006-12-09 08:26 | 一服小話