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by jinsei1

12月15日 ふぐ汁


12月15日 ふぐ汁_a0009666_843268.gif ふぐには毒がある為、昔は、ふぐを食べて死んだ者が、大勢おりました。
 その癖、ふぐの味は、格別す。
 何とかして食べて見たいと、色々苦心をしたものでございます。
 ある日、若い江戸っ子連中が、両国橋の近くの家に集まって、ワイワイやっておりました。
 そこヘ、一人の男がやってきて、
「いよう。皆揃って、何を騒いでいるんだい」
「やあ、源兄か。実は、ふぐを貰ったんだが。どうも気味が悪くて食えねえ。誰かが、先に食って見せろというんだが、誰も食い手がねえんだ」
「おお、そんな事なら、橋の上の乞食に、食わせて見たらどうだ」
「なーるほど。そいつは、上手い考えだ」
と、言う訳で、早速、大鍋に一杯、ふぐ汁を拵えました。
「源兄。行って呉れるか」
「よし、きた。その丼鉢に、入れて呉れ」
 源さん、ふぐ汁を持って、橋の上にやって来ました。
 寝ていた乞食を揺すぶり起こして、
「ふぐ汁の出来立てを持って来たが、食わねえか。どうだ」
「お有難うございます」
「食うか」
「へえ。お有難うございます」
 源さん、乞食の出したお碗の中ヘ、ふぐ汁を入れてやると、ニヤニヤしながら、帰って来ました。
 暫くたちました。
 もう、そろそろ、良かろうと、見に行きますと、乞食は、元気でピンピンしております。
「これなら、大丈夫。さあ、ふぐを食べよう」
 一同は安心して、ふぐ汁大会を始めました。
 いや、賑やかな事、賑やかな事。
 なにしろ、若い連中の事。
 よってたかって、大鍋一杯のふぐ汁を、綺麗に、平らげてしまいました。
「ああ、旨かった」
「どうだい。腹が膨れたから、表を少し歩こうじゃないか」
「良いねえ、行こうか」
と、皆は、橋の方ヘやって来ました。
 乞食の側迄来ると、わざと大声で、
「さっきのふぐは、旨かったなあ」
「おお。ふぐは、やっぱり、格別の味だ」
 等と、聞こえよがしに、話し合いました。
 乞食は、若い衆の中に源さんの姿を見つけると、顔を上げて尋ねました。
「旦那方、もう、ふぐ汁を、お上がりになりましたんで?」
「おお、食ったとも、食ったとも」
「お味は?」
「いやはや、もう、途方も無く、旨かったわ」
「お身体の具合は?」
「この通り、ピンピンしておる」
 それを聞くと、乞食、




「それならば、私も、安心して、頂かして頂きます」

おしまい


ハイッ、お次ぎがヨロシイようで------。
明日12月16日の予告

大根売り



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by jinsei1 | 2006-12-15 08:05 | 一服小話