「一列になる凱旋の蟻の道」
(いちれつに なるがいせんの ありのみち)
庄中健吉。
蟻は女王を中心に家族的集団生活を営んでいる。そこには明らかなカースト(階級)の分化があり、仕事の分業がある。白昼によく見るのは働き蟻だ。一列になって連なりはっているのを蟻の門(と)渡りという。よくみるとたがいに触角をふれ合って何かを通信し合っているらしい。一茶には「ありの道雲の峰よりつづきけん」と詠むが、そんな長い長い列を戦いに勝って帰る隊列と見立てたのはおもしろい。byけさの一句抄。
「白銀をあと一息の蟻の列」
(はくぎんを あとひといきの ありのれつ)
山根尽生。